前回に続いて韓国の保存車巡りです。
今回も前回と同じく、釜山からスタートして寄り道をしつつソウルへ向かいます。前回は下関発のフェリーで渡韓しまたが、今回は格安航空で釜山入りしました。
釜山に到着後、すぐに京釜線の特急「ITXセマウル号」に乗車し、40分ほどの清道駅で下車しました。

前回列車から見かけて気になっていた車両です。清道駅のすぐ前に保存されています。

セマウル号型気動車です。
両端の先頭車にエンジンを搭載し、中間車は付随車となっている動力集中式列車です。
ソウルオリンピックを機に1987年に登場しました。この車両は1988年から製造された改良型(出力増強、全車特室など)とのことです。
高速列車KTXの登場までは韓国の花形列車でした。

先頭動力車(126号車)と中間客車(335号車)の2両が保存されています。
2013年をもって気動車としては運行を終了し、先頭車は廃車となりましたが、中間車の一部は客車として2018年まで運用されました。
車内は解放されていなかったので、貫通路から撮影しました。
座席は全て撤去されているようです。

運転台も外からの撮影です。
訪問したのが夕方であったせいか施錠されていましたが、土休日以外は解放していると看板に記載がありました。

車両は民俗資料館の中に保存されています。
解放時間は8時から18時とのことです。
場所: 京釜線清道駅前(청도역)
この日は釜山へ戻り、一泊して翌朝は釜田駅からスタートしました。
釜田駅は東海岸や南海岸方面へのターミナルで、表玄関の釜山駅に対し釜山の裏玄関といえます。

釜田7:45発のムグンファ号1776列車に乗車します。乗ってみたかった気動車のムグンファ号です。
車両は9501系と呼ばれる気動車で、元々は通勤列車用として1996年から製造された車両ですが、通勤列車が順次廃止となったため一部がムグンファ号用に改造され、"格上げ"されました。
気動車ムグンファ号は南部の亜幹線をメインに運転されており、ソウル近郊には姿を見せません。

車内です。座席はいちおうリクライニングシートですが、座面が硬めでピッチも狭めです。
しかも台車がコイルバネなので走行中は大きくバウンドし、客車のムグンファ号よりも乗り心地がなかり劣るように思いました。

しかし、"気動車急行"という感じの趣があって、また乗りたいと思いました。
この列車には東大邱まで乗車しました。大邱は前回も来たのですが、行き損ねた施設があったので再訪です。

駅前から路線バス「急行2番」に乗車します。

終点で下車し、バス停からすぐの「大邱市民安全テーマパーク」へ来ました。

テーマパーク内の「地下鉄安全展示館」では2003年に発生した地下鉄放火火災事故の被災車両3両が展示されています。
大邱市地下鉄放火火災事故は300人以上の死傷者を出した大惨事で、当時日本でも大きく報道されました。

被災車両はステンレス車体のせいか外観は意外に形を留めているように見えます。しかし車内を覗くと内装は大きく焼けただれており、火勢のはげしさが想像されます。

私は今回一般入場だったので、先頭車1両の屋根上からしか見ることができませんでした。
体験付きガイドツアーに参加することで3両すべてを間近に見学できるそうですが、これは参加者本人が電話で事前予約する必要があるらしく、私は韓国語ができないので断念しました。
「大邱シティツアー」の市内バスツアーに安全ミュージアムの体験ツアー込みのコースがあるようなので、車両を近くで見学するにはこのツアーに参加するのが手っ取り早いかもしれません。

地下鉄は閉鎖空間だけに火災は恐ろしいですね。
この事故を機に日本でも鉄道車両への火災対策が強化され、例えばE231系は全車に貫通扉が付くように製造途中で仕様変更されました。
大邱市民安全テーマパーク(대구시민안전테마파크)
大邱広域市東区八公山路1155(대구광역시 동구 팔공산로 1155)

大邱から一気に北上し、忠清南道天安市の郵政博物館に来ました。
博物館前にかつて使用されていた郵便客車が保存されています。
積み下ろし用の両開き扉があり、仕分棚や郵袋置き場があるため窓が少ないなど、日本の郵便客車に雰囲気は似ているように思います。塗装は現在のムグンファ号と同じで、側面に「우편」(郵便)の表記があります。


車内はほとんどの設備が撤去され、鉄道郵便の歴史解説スペースとなっています。

車端部の一部に仕分け棚が残され、マネキンによって仕分け作業が再現されています。
解説によると韓国の鉄道郵便の廃止は2006年だそうで、案外遅くまで残ったという気がします。
韓国の鉄道は現在も客車列車が長距離を走る汽車型ダイヤの性格が強いですから、日本よりも鉄道郵便を運用するには条件が良かったのかもしれません。
郵政博物館(우정박물관)
天安市中心部から東へ3kmくらいです。近くまで路線バスもあるようですが、情報が無かったのでタクシーを利用しました。
続いてソウルへ向かうため、タクシーで天安市中心部にあるバスターミナルまで行ってもらい、ソウル行の高速バスを利用しました。
ソウル到着後は地下鉄に乗車して5号線の光化門駅で下車し、ソウル歴史博物館へ向かいます。

博物館前に保存されている車両です。
旧ソウル市電の381号電車です。
日本国内で製造された車両と思われますが、車両の経歴を紹介する案内はありませんでした。
韓国ではかつてソウルと釜山に市電がありましたが、いずれも1968年に廃止されました。

夜間のためか車内は公開されておらず、窓越しの撮影です。

都心のど真ん中の保存車です。屋外ですが美しい状態で展示されています。
(訪問:2019年9月)
〜続きます〜
今回も前回と同じく、釜山からスタートして寄り道をしつつソウルへ向かいます。前回は下関発のフェリーで渡韓しまたが、今回は格安航空で釜山入りしました。
釜山に到着後、すぐに京釜線の特急「ITXセマウル号」に乗車し、40分ほどの清道駅で下車しました。

前回列車から見かけて気になっていた車両です。清道駅のすぐ前に保存されています。

セマウル号型気動車です。
両端の先頭車にエンジンを搭載し、中間車は付随車となっている動力集中式列車です。
ソウルオリンピックを機に1987年に登場しました。この車両は1988年から製造された改良型(出力増強、全車特室など)とのことです。
高速列車KTXの登場までは韓国の花形列車でした。

先頭動力車(126号車)と中間客車(335号車)の2両が保存されています。
2013年をもって気動車としては運行を終了し、先頭車は廃車となりましたが、中間車の一部は客車として2018年まで運用されました。

車内は解放されていなかったので、貫通路から撮影しました。
座席は全て撤去されているようです。

運転台も外からの撮影です。
訪問したのが夕方であったせいか施錠されていましたが、土休日以外は解放していると看板に記載がありました。

車両は民俗資料館の中に保存されています。
解放時間は8時から18時とのことです。
場所: 京釜線清道駅前(청도역)
この日は釜山へ戻り、一泊して翌朝は釜田駅からスタートしました。
釜田駅は東海岸や南海岸方面へのターミナルで、表玄関の釜山駅に対し釜山の裏玄関といえます。

釜田7:45発のムグンファ号1776列車に乗車します。乗ってみたかった気動車のムグンファ号です。
車両は9501系と呼ばれる気動車で、元々は通勤列車用として1996年から製造された車両ですが、通勤列車が順次廃止となったため一部がムグンファ号用に改造され、"格上げ"されました。
気動車ムグンファ号は南部の亜幹線をメインに運転されており、ソウル近郊には姿を見せません。

車内です。座席はいちおうリクライニングシートですが、座面が硬めでピッチも狭めです。
しかも台車がコイルバネなので走行中は大きくバウンドし、客車のムグンファ号よりも乗り心地がなかり劣るように思いました。

しかし、"気動車急行"という感じの趣があって、また乗りたいと思いました。
この列車には東大邱まで乗車しました。大邱は前回も来たのですが、行き損ねた施設があったので再訪です。

駅前から路線バス「急行2番」に乗車します。

終点で下車し、バス停からすぐの「大邱市民安全テーマパーク」へ来ました。

テーマパーク内の「地下鉄安全展示館」では2003年に発生した地下鉄放火火災事故の被災車両3両が展示されています。
大邱市地下鉄放火火災事故は300人以上の死傷者を出した大惨事で、当時日本でも大きく報道されました。

被災車両はステンレス車体のせいか外観は意外に形を留めているように見えます。しかし車内を覗くと内装は大きく焼けただれており、火勢のはげしさが想像されます。

私は今回一般入場だったので、先頭車1両の屋根上からしか見ることができませんでした。
体験付きガイドツアーに参加することで3両すべてを間近に見学できるそうですが、これは参加者本人が電話で事前予約する必要があるらしく、私は韓国語ができないので断念しました。
「大邱シティツアー」の市内バスツアーに安全ミュージアムの体験ツアー込みのコースがあるようなので、車両を近くで見学するにはこのツアーに参加するのが手っ取り早いかもしれません。

地下鉄は閉鎖空間だけに火災は恐ろしいですね。
この事故を機に日本でも鉄道車両への火災対策が強化され、例えばE231系は全車に貫通扉が付くように製造途中で仕様変更されました。
大邱市民安全テーマパーク(대구시민안전테마파크)
大邱広域市東区八公山路1155(대구광역시 동구 팔공산로 1155)

大邱から一気に北上し、忠清南道天安市の郵政博物館に来ました。
博物館前にかつて使用されていた郵便客車が保存されています。
積み下ろし用の両開き扉があり、仕分棚や郵袋置き場があるため窓が少ないなど、日本の郵便客車に雰囲気は似ているように思います。塗装は現在のムグンファ号と同じで、側面に「우편」(郵便)の表記があります。


車内はほとんどの設備が撤去され、鉄道郵便の歴史解説スペースとなっています。

車端部の一部に仕分け棚が残され、マネキンによって仕分け作業が再現されています。
解説によると韓国の鉄道郵便の廃止は2006年だそうで、案外遅くまで残ったという気がします。
韓国の鉄道は現在も客車列車が長距離を走る汽車型ダイヤの性格が強いですから、日本よりも鉄道郵便を運用するには条件が良かったのかもしれません。
郵政博物館(우정박물관)
天安市中心部から東へ3kmくらいです。近くまで路線バスもあるようですが、情報が無かったのでタクシーを利用しました。
続いてソウルへ向かうため、タクシーで天安市中心部にあるバスターミナルまで行ってもらい、ソウル行の高速バスを利用しました。
ソウル到着後は地下鉄に乗車して5号線の光化門駅で下車し、ソウル歴史博物館へ向かいます。

博物館前に保存されている車両です。
旧ソウル市電の381号電車です。
日本国内で製造された車両と思われますが、車両の経歴を紹介する案内はありませんでした。
韓国ではかつてソウルと釜山に市電がありましたが、いずれも1968年に廃止されました。

夜間のためか車内は公開されておらず、窓越しの撮影です。

都心のど真ん中の保存車です。屋外ですが美しい状態で展示されています。
(訪問:2019年9月)
〜続きます〜
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