保存車めぐりの記録

ようこそいらっしゃいました。 保存・放置鉄道車両巡りがメインのブログです。

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場所:愛知県犬山市内山1
明治村ホームページ

愛知県犬山市の「博物館明治村」に行ってきました。
「明治村」は明治時代の建築物を主に展示するテーマパークで、その敷地は約100万㎡と広大で国内のテーマパークとしては第三位の規模があります。
さらに、動態保存されている明治時代のSLや路面電車に乗ることが出来たり、歴史上貴重な車両や鉄道施設が保存されていたりと、鉄道好きにとっては見応えのある施設です。

◆SL
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北口から入場するとすぐ「明治村東京」駅があり、ここから村のほぼ中心、「明治村名古屋」駅までの約800mの区間にSL列車が運転されています。

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発車を待つ列車。
手前からハフ13、ハフ11、ハフ14の編成です。3両とも雄勝鉄道で使用されていました。
ハフ13とハフ14は明治45年製で当初は新宮鉄道で使用され、同鉄道の国有化で鉄道省の所属に、昭和17年に雄勝鉄道へ移りました。
ハフ11は明治41年の製造で青梅鉄道、山形県の高畠鉄道で使用されたあと、昭和11年に雄勝鉄道に移籍した車両です。

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ハフ11。国内の動態客車では最古の車両ではないかと思います。
2重屋根ですが、ほぼ同じ大きさの屋根を重ねた特徴的なかたちで、採光よりも通風を考慮しての構造と思われます。

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牽引機は12号。
日本最初の鉄道開業用として明治5年に輸入された英国シャープ・スチュアート社製の4両の増備分として、明治7年に輸入された2両のうちの1両です。

明治42年に形式が160形と制定され、この車両は165号となりました。
明治44年に尾西鉄道に払い下げられ、同社の合併によって最後は名鉄の所属となり、昭和32年に廃車となりました。

廃車後、静態保存されてきましたが、日本の鉄道100年を機に動態復元が実施され、昭和48年より運転が開始されました。

動態状態の車両としては国内最古の車両です。

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車庫の中にはもう1両のSL、9号がお休み中。
明治45年に米国ボールドウィン社で製造され、当初は富士身延鉄道で、あとに日本鋼管鶴見製鉄所で使用されました。

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汽笛を大きく鳴らして出発。園内の建築群や入鹿池を眺めながら進みます。

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5分ほどで終点「明治村名古屋」駅に到着。SLは折り返しに備えて駅の先端にある手動ターンテーブルで方向が変えられます。

◆京都市電
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次は、SLとともに動態保存されている京都市電に乗ってみます。
SLの「明治村名古屋」駅から坂を下ってすぐ、「市電名古屋」駅に出ることができます。市電はここから途中の「京都七条」駅を経て「品川燈台」駅までの約800mを運転しています。

保存されている電車は、日本で最初の営業電車を運行した京都電気鉄道に導入され、あとに路線の市への売却によって京都市電となった車両です。この車両は軌間1,067mmの狭軌仕様であり、市電移管後は標準軌で建設された他の路線の車両と区別するため、ナローを意味するN電と呼ばれました。

車両は2両あり、明治43年と44年に造られたということです。

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この日は「市電名古屋」駅の先でお休みの1号(市電時代は8号)。線路は駅構内も含めて全線単線でのため、両終点の先に1両分の車庫が設けられています。

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ほどなく重々しい音を立てて2号が到着。こちらは市電時代は15号でした。

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折り返しに備えてトロリーポールを反転させます。今や貴重な光景です。

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運転台はダイレクト・コントローラーと手ブレーキのみで、これ以上削ぎ落としようのないシンプルの極みです。

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車内。アーチのある窓に2重屋根、花弁を模したと思われる照明と、凝った装飾が見られます。

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出発。森の中を抜けて。

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途中駅の「京都七条」駅に到着。この駅は正面入口から延びるメインストリート上に設けられており、賑やかです。

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再び出発。入鹿池に沿って進みます。

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終点の「品川燈台」駅に到着。手前の建屋は2号車用の車庫です。

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駅名にもなっている「品川燈台」です。
品川沖の第二台場(現在の品川埠頭とお台場海浜公園の中間あたりにあったがあとに撤去)で明治3年から使用が開始されました。現存最古の洋式燈台で、国の重要文化財です。

◆鉄道局新橋工場と明治天皇・昭憲皇太后御料車
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園内の南側、正面入口から入場した場合には右方向へ進んだ場所に「鉄道局新橋工場」の建屋が保存されており、庫内に2両の御料車が保存されています。

保存されているのはいずれも明治後期に造られた5号と6号です。使用されなくなってからは東京の大井工場で保管されてきましたが、昭和41年より明治村での公開が開始されました。
現在の所有者はJR東海、2両とも鉄道記念物に指定されています。

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6号御料車です。明治天皇御乗用として明治43年に製造されました。
当時の車両としては大型の20m車体に3軸ボギー台車を備え、これは以後の御料車に長く引き継がれました。多くの美術工芸を駆使した車両で、「御料車の最高傑作」と評されます。
製造が明治のおわりで、昭和の初めには使用されなくなったそうなので、実際にはほぼ大正天皇の御乗用として使用されたようです。

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金線で装飾された車体に窓下の桐の御紋章、台枠にも装飾されているなど、豪華絢爛な外装です。

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数年に一度特別公開の機会もあるそうですが、普段は車両とはやや距離を置いた通路からの見学となります。こちらは御座所。

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5号御料車。明治35年に昭憲皇太后(当時は皇后)御乗用として製造されました。
それまでの1~4号が天皇用として造られたため、はじめて造られた皇后用御料車です。車体は約16mと6号車よりは少々小型で、台車は2軸ボギーです。
6号車と同じように外装は金線で装飾されていますが、比較的控えめです。さらに彫刻なども見当たらず、車体全体が直線的な構造であることもあって、落ち着いた印象の車両です。

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御座所。素襖色の玉座が女性的で品があります。

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鉄道局新橋工場の外観。明治22年の建築で、国産鉄造建築物の初期の貴重な実例とのことです。

◆名電1号形
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京都市電の中間駅、「京都七条」駅の近くに展示されている車両です。

名鉄の前身で名古屋で路面電車を運行していた名古屋電気鉄道が明治31年から製造した形式で、この車両は明治34年製だということです。
大正7年に札幌市電の前身札幌電気軌道に譲渡されました。廃車後いったん動態復元され、イベント用として使用されましたが、以後は札幌市交通博物館で展示されてきました。

平成26年、明治村50周年と名鉄の創業120周年を記念して、札幌市から借り受けての展示が実施されることになり、同年6月から公開されました。

この車両の明治村での展示は平成32年3月までの期間限定で、展示終了後は札幌市へ返却予定です。

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◆尾西鉄道1号
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明治村のほぼ中心、4丁目に保存されている車両です。

名鉄の前身のひとつ、尾西鉄道が導入した車両で、明治30年に米国ブルックス社で製造されました。
軸配置4-4-2のタンク式機関車です。大正14年には尾西鉄道と旧名古屋鉄道が合併したため、この車両も名古屋鉄道の所有となりました。

後年には新潟県の日本曹達二本木工場で入換に使用されました。

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車両が載せられているのは六郷川鉄橋です。
東京・神奈川の県境の六郷川(現多摩川)に架けられた日本最初の複線用鉄橋で、明治10年に架橋されました。

◆12号SLの旧ボイラー
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製造から140年を超えて現役の12号SLですが、ボイラーについては昭和60年に新品に交換しています。
これはそれまで使用されてきたボイラーで、SLが走るレンガ橋の下に保存されています。

◆そのほかの見どころ
他にも興味深い展示がたくさんありました。一例を申しますと…
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鉄道寮新橋工場。
鉄道開業に際して明治5年に建設された機関車の修理工場です。2棟が並んでいますが、最初建設されたのは片方で、大正時代に大井町に移設された際にもう1棟が増築されたそうです。

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帝国ホテル中央玄関。大正12年築。

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三重県旧庁舎。明治12年築。

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長崎県伊王島から移築された大明寺聖パウロ教会堂。明治12年築。

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三重県伊勢市の宇治山田郵便局。明治42年築。

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こちらでは「博物館明治村簡易郵便局」として実際に郵便・貯金業務がおこなわれています。

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静岡県焼津の小泉八雲避暑の家。1階では駄菓子屋が営業しています。

と、ごく一部ですが明治村に保存されている建築物をご紹介しました。ほんとうに多くの建築が保存されいるので、とくに歴史や建築が好きならとても楽しめる施設であると思います。
また周りを緑に囲まれたロケーションのせいか、本当に「村」という感じで、そこも風情があっていいなと思いました。
しかし、じっくり見ようとすると1日がかりだとは聞いていましたが、本当にその通りです。今回14時ころ入場して19時くらいまでいたのですが、まだまだ見たりない気分でした。また行ってみたいと思います。
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