
金曜の16時、鶴見駅鶴見線ホームにやってきました。
この日は仕事が早上がり出来たので、鶴見線の運転本数が多くなる夕方のラッシュを利用して、全駅めぐりをしてみました。
ただ駅だけを巡るのでは味気ない気もしたので、沿線の食堂や立ち飲み屋、銭湯にも立ち寄ってみました。
JR鶴見線は、横浜市鶴見区の鶴見駅を起点に海沿いの工業地帯へと伸びる通勤路線です。
3両の短い電車、古い木造の駅、草むした線路…と、どこか辺境の地に来たような気分になれる路線で、「都会のローカル線」と呼ばれたりします。
そんな風情ある路線ですから、せっかく乗りに来たなら是非のんびり途中下車でも、と思いますが…

▲鶴見駅の時刻表です。
ラッシュ時はそこそこの本数がありますが、昼どきは極端に少なくなります。
例えば平日の昼どきは1時間あたり3本ありますが、ほとんどが途中の浜川崎止まり。終点の扇町や支線の海芝浦へ行く電車は2時間に1本で、もうひとつの支線の大川行にいたっては昼は1本もありません。
こんなダイヤなので、寄り道をするなら朝か夕方の通勤時間帯を狙うのが良いと思います。

▲このような順番で回ります。
電車の乗り継ぎや寄りたい場所の都合で鶴見から順にというわけにいかず、行ったり来たりしました。

▲1駅目「鶴見」
鶴見線鶴見駅は鶴見線の前身である鶴見臨港鉄道時代の昭和9年の開業で、このホームは開業当時から使用されています。

まずは16:20発の扇町行で次の国道駅まで行きます。
鶴見16:20➔国道16:22

しばらく走ると「本山駅」の跡が見えます。総持寺のすぐ前にあった参詣客向けの駅ですが、昭和17年に廃止となったそうです。 行楽向けの駅は戦時には不要とされたということでしょうか。

▲2駅目「国道」
鶴見から続く高架上の駅です。

階段を降りて改札を出ます。
いやー凄い空間ですね。昭和のまま時が止まったようです。
高架下はテナントに貸しているようで、柱のあいだごとに町工場や商店になっています。営業している様子の店はほとんどありませんが。
高架下はテナントに貸しているようで、柱のあいだごとに町工場や商店になっています。営業している様子の店はほとんどありませんが。

開店準備中の焼鳥屋さんがありました。こういう店にサッと入れる勇気が欲しいものです。


中には高架下に住んでいる方もいるようです。(→はまれぽの記事)

駅前は駅名の由来の国道15号線(第1京浜)で、車がひっきりなしに行き交います。

道路から駅部分の橋脚を見るとポツポツと穴がありますが、これは戦時中の機銃掃射の弾痕だそうです。

第一京浜を横浜方面にすこし進むとある「千代の湯」。渋い構えですね。入ってみたかったですが、あいにく店休日のようです。

駅の裏は旧東海道で、神奈川方面は魚屋が多く、「生麦魚河岸」となっています。生麦は江戸時代以来の漁師町だそうです。
国道16:42➔鶴見小野16:43

▲3駅目「鶴見小野」
国道から鶴見川を渡って最初に停まる鶴見小野で下車。下町の住宅街の中にある駅です。

改札機はICカード専用の簡易的なもの。改札には駅員さんが入るボックスが残っています。これもすっかり見なくなりましたね。

駅舎はローカル線の駅のようななかわいらしい構え。

本屋とは別に鶴見行きホームある駅舎が超ミニマム。人に「横浜市内のJRの駅です」と言っても信じてもらえなそうです。
鶴見小野から歩いて弁天橋へ

駅前から商店街が続いています。普通の駅前風景のようですが、ほとんどの駅が工業地帯の中にある鶴見線の中では珍しいです。
ここから次の弁天橋駅まで歩こうと思います。

駅から7分ほど歩いて「鶴巻氷店」に来てみました。製氷店なのですが店先でかき氷を売っていて、1杯100円と激安でした。が、かき氷は6月で終わりにしたとのこと、残念…。

さらに少し歩いて「仲通商店街」にやってきました。

古めかしいおもちゃ屋さん。

中はドンキもびっくりの圧縮陳列です。電車模型は子供の頃集めてたので懐かしいです。

向かいにあるたばこ屋さん。タイル貼りのカウンターが渋いです。

他にも、駄菓子屋があったり、

角打ちができる酒屋も。まだ17時前ですけど飲んでる人もチラホラ。

商店街を進むと、沖縄の物産店がありました。このあたりは沖縄県出身者やその子孫が多く住むそうで、他にも沖縄料理屋が何軒かあります。

「おきなわ物産センター」はコンビニのような店内で品ぞろえ豊富。せっかくなのでいろいろ買っておきました。

遅めの昼食に、近くにある「ヤージ小(やーじぐわー)」という食堂に入ってみました。夕方は16時から営業しています。

沖縄料理が豊富に揃っています。迷いますね。

「中味そば」を頼みました。豚のモツを椎茸とこんにゃくで煮込んだ「中味汁」の麺入りバージョンです。強めに効いたカツオだしのおかげか、モツの臭みが全然なくて美味しいです。

この日は朝にどん兵衛のミニを食べただけで腹ペコだったので、さきほどの物産センターとなりにある「おきなわ亭」に17時の開店と同時に入って「オムタコライス」も食べました。 美味かったですがカロリー摂りすぎ…。

▲4駅目「弁天橋」
おきなわ亭から10分ほど歩いて弁天橋駅へ。三角屋根が3つ合わさったユニークな駅舎です。

この駅は近くにある旭硝子やJFEの従業員の利用が多いようで、すでに帰宅ラッシュが始まっていました。

ホームは鶴見行を待つ通勤客でいっぱいに。
弁天橋17:31➔新芝浦17:35


▲5駅目「新芝浦」
この駅はホームのすぐ下が運河。潮の香りが心地よいです。

改札へは踏切を渡ります。もしかして日本一海に近い踏切だったり?

木造のこじんまりした駅舎。ちなみに駅の目の前に東芝の工場があって、工場内は撮影禁止なので、カメラを向ける方向に気を遣います。

鶴見行ホームは仕事を終えた東芝の社員が続々と集まってきました。誰もいない反対ホームに立っている私を不審な目で見てきます。
新芝浦17:45➔海芝浦17:47

東芝の工場と運河に挟まれた単線を進んで、左車窓に海が広がると終点の海芝浦です。海に阻まれて線路が途切れるという感じ。

▲6駅目「海芝浦」
ホームの目の前に広がる海、都心の駅とは思えないロケーションで、さいはて感があります。

この駅は改札の外は東芝の工場しかないため、「改札から出れない駅」ですが、公園があります。「改札内公園」は全国でここだけではないかと思います。

気持ちいいですね。明るい時間もいいですが、個人的には夜の方が好きです。ベンチにジュースの自販機、トイレもあるので、天気がいい日ならしばらくここで過ごすのもいいのではないかと思います。ちなみにお酒を飲むのはダメだそうです。

ただ、電車の本数がこんな状態なので、昼に来た場合は同じ電車で戻らないとまずいことになります。
海芝浦17:57➔浅野18:01

▲7駅目「浅野」
海芝浦から折り返し電車に乗って、浅野で下車。
この駅は本線と海芝浦支線のホームがそれぞれあり、線路が4番線まであります。
無人駅ながら駅舎は2階建ての立派なもの。2つのホームに挟まれた三角地帯にあります。
浅野18:04➔昭和18:14
▲8駅目「昭和」
駅舎はプレハブの仮の建物になっていました。以前はまさに昭和といった古い駅舎があったのですが、取り壊されたようです。これは残念…。
ベンチの下はタバコや空き缶が散乱しています。マナー悪いな…。
駅前はすぐ昭和電工の工場。この会社があるから「昭和駅」なんだそう。シンプルですね。
駅前には角打ちができる酒屋さん。仕事を終えた男たちで賑わっていました。
昭和18:29➔扇町18:31
▲9駅目「扇町」
鶴見線本線の終点です。ホームは1つしかなく、広い貨物用の構内の片隅に間借りしているような駅です。
駅舎はブロック積みで、ごくシンプルな造りです。入口に洋風庭園にあるようなアーチがありますが、木が茂っていてちょっと暗いです。
電車はここで終わりですが、線路自体はこの先も続いていて、「三井埠頭専用線」が岸壁まで繋がっています。立入禁止なので見ることはできませんが、石炭の積み揚げ設備があるそうです。
ところで、駅の中でやたらニャーニャーと鳴いているのは野良猫のみなさん。
かわいいねー。
扇町18:37➔武蔵白石18:44
▲10駅目「武蔵白石」
屋根が高い駅舎。ここからとなりの安善駅までは500mくらいと近いので、歩いて行きます。
武蔵白石から歩いて安善へ
工場に囲まれた運河の眺め。橋を渡ると産業道路と工業地帯に囲まれて陸の孤島のような「寛政町」という住宅地に入ります。
こちら、寛政町の東より、武蔵白石と安善両駅の中間くらいにある「安善湯」。地元密着の銭湯です。
脱衣所は番台のある昔ながらのスタイルで、昭和にタイムスリップしたようです。建物は戦前からのもので、ご主人のお話では「もう80年以上になる」とのことです。
浴室に入ります。まるい浴槽がシャレてますね。洋風のレトロモダンな建築で、よく見かける和風建築の銭湯とはまた違った味があります。

駅舎はプレハブの仮の建物になっていました。以前はまさに昭和といった古い駅舎があったのですが、取り壊されたようです。これは残念…。

ベンチの下はタバコや空き缶が散乱しています。マナー悪いな…。

駅前はすぐ昭和電工の工場。この会社があるから「昭和駅」なんだそう。シンプルですね。

駅前には角打ちができる酒屋さん。仕事を終えた男たちで賑わっていました。
昭和18:29➔扇町18:31

▲9駅目「扇町」
鶴見線本線の終点です。ホームは1つしかなく、広い貨物用の構内の片隅に間借りしているような駅です。

駅舎はブロック積みで、ごくシンプルな造りです。入口に洋風庭園にあるようなアーチがありますが、木が茂っていてちょっと暗いです。

電車はここで終わりですが、線路自体はこの先も続いていて、「三井埠頭専用線」が岸壁まで繋がっています。立入禁止なので見ることはできませんが、石炭の積み揚げ設備があるそうです。

ところで、駅の中でやたらニャーニャーと鳴いているのは野良猫のみなさん。

かわいいねー。
扇町18:37➔武蔵白石18:44

▲10駅目「武蔵白石」


屋根が高い駅舎。ここからとなりの安善駅までは500mくらいと近いので、歩いて行きます。
武蔵白石から歩いて安善へ

工場に囲まれた運河の眺め。橋を渡ると産業道路と工業地帯に囲まれて陸の孤島のような「寛政町」という住宅地に入ります。

こちら、寛政町の東より、武蔵白石と安善両駅の中間くらいにある「安善湯」。地元密着の銭湯です。

脱衣所は番台のある昔ながらのスタイルで、昭和にタイムスリップしたようです。建物は戦前からのもので、ご主人のお話では「もう80年以上になる」とのことです。

浴室に入ります。まるい浴槽がシャレてますね。洋風のレトロモダンな建築で、よく見かける和風建築の銭湯とはまた違った味があります。
薪を使う昔ながらの方法で沸かしているというお湯は、涼しげなミントブルーの見かけのわりに熱め。目が醒めるようで気持ちよいです。
風呂でさっぱりした後は何か飲みたいということで、安善湯の近くにある栄屋酒店へ。今どき珍しい瓶入りジュースの自販機がありました。

風呂でさっぱりした後は何か飲みたいということで、安善湯の近くにある栄屋酒店へ。今どき珍しい瓶入りジュースの自販機がありました。
栓抜きは自販機に付いていて、フタはそのまま下に落とします。考えられてますね。ラムネを飲むときもしかり、「プシュ」と音を立てて開けるひと手間のせいか、缶入りよりもおいしいような気がするから不思議です。
▲11駅目「安善」
5分くらい歩いて安善駅に来ました。民家のような小ぶりな駅舎です。
小さな駅舎や狭いホームとは対照的に広い構内が広がります。貨物がメインで客扱いはついでといった感じの駅です。
安善19:29➔大川19:33
▲12駅目「大川」
大川支線の終点、大川に到着。
すでに通勤時間は終わったのか、人の姿はまばらです。
以前は貨物列車の発着があったために側線がありますが、すでに草生しており半ば廃線のようです。
以前は貨物列車の発着があったために側線がありますが、すでに草生しており半ば廃線のようです。
ここで少し大川支線のことに触れたいと思います。
現在大川支線に入る電車は安善を出ると次が終点の大川ですが、正式な起点は現在大川支線は停まらない武蔵白石で、かつては武蔵白石~大川間で折り返し運転をしていました。
武蔵白石駅から鶴見方面を見た写真です。大川支線にはホームこそないものの、駅をギリギリかすめて分岐していきます。以前は左側に大川支線用ホームがありましたが、平成8年に撤去されました。
なぜ、せっかくあったホームを撤去してしまったか?
それはホーム部分のカーブがたいへん急で、車体長が20mある普通の電車が入線できなかったためです。
そのためこの区間専用に車体の短い戦前製の電車が残されていたのですが、古い電車をいつまでも使うわけにもいかず、引退させることになりました。

武蔵白石駅から鶴見方面を見た写真です。大川支線にはホームこそないものの、駅をギリギリかすめて分岐していきます。以前は左側に大川支線用ホームがありましたが、平成8年に撤去されました。

なぜ、せっかくあったホームを撤去してしまったか?
それはホーム部分のカーブがたいへん急で、車体長が20mある普通の電車が入線できなかったためです。
そのためこの区間専用に車体の短い戦前製の電車が残されていたのですが、古い電車をいつまでも使うわけにもいかず、引退させることになりました。
大川19:49➔安善19:53
再び安善駅に戻りました。すっかり日も暮れて飲みたい頃合いなので、駅のすぐ前にある「ほていや」に入ってみました。酒屋の中で立ち飲みができる、角打ちスタイルのお店です。
カウンターでお金と引き換えにお酒を受け取ります。
サワーや生の小なら300円を切る良心的な値段です。スナック類のほかちょっとしたおつまみも作ってくれるようです。
缶詰も充実。
ここで仕事終わりの友人と合流しました。レモンサワーとゴボウのさつま揚げで乾杯。お客は近くの工場の従業員と思われる人が多く、電車の時間までに軽く飲んでいくようです。
安善20:39➔浜川崎20:43
▲13駅目「浜川崎」
ラストの浜川崎駅に到着。遅い時間になりましたが、明日は休みなので余裕です。
浜川崎の券売機でスイカの履歴印字しておきました。一応、全駅巡った証拠ということで。
人の姿もまばらで、ひっそりと静かな駅前。駅の裏にはJFEの製鉄所があるのですが、この時間は稼働していないのか、ただひたすら闇という感じ。
シメにもう一軒寄って行きます。今度は駅のすぐ横、というか跨線橋の下にある「浜川崎商店」です。
金曜のせいか、この時間でも数人お客さんがいます。
店の狭さのわりに品揃えは豊富。気取らないつまみが多くていいですね。
本日2度目の乾杯。卵を落とした肉豆腐は家庭的で優しい味です。

浜川崎の券売機でスイカの履歴印字しておきました。一応、全駅巡った証拠ということで。

人の姿もまばらで、ひっそりと静かな駅前。駅の裏にはJFEの製鉄所があるのですが、この時間は稼働していないのか、ただひたすら闇という感じ。

シメにもう一軒寄って行きます。今度は駅のすぐ横、というか跨線橋の下にある「浜川崎商店」です。

金曜のせいか、この時間でも数人お客さんがいます。

店の狭さのわりに品揃えは豊富。気取らないつまみが多くていいですね。

本日2度目の乾杯。卵を落とした肉豆腐は家庭的で優しい味です。
店の雰囲気とぴったりの妙齢のおかみさんが接客する感じのいい店でした。
乗りに来ても単純往復になることが多い鶴見線。今回はじめて本数の多い時間にゆっくり巡ってみましたが、周りの都会からは取り残されたような、のんびりした時間軸をじっくり味わうことができました。やっぱり鶴見線は良いです。
東京や横浜からすぐの場所ですし、時間と金をかけず旅気分を味わいたい時など、お試しいただけたら幸いです。
◆今回の行程
鶴見16:20➔国道16:22
国道16:42➔鶴見小野16:43
鶴見小野→[沖縄物産センター]→[ヤージ小]→[おきなわ亭]→弁天橋
弁天橋17:31➔新芝浦17:35
新芝浦17:45➔海芝浦17:47
海芝浦17:57➔浅野18:01
浅野18:04➔昭和18:14
昭和18:29➔扇町18:31
扇町18:37➔武蔵白石18:44
武蔵白石→[安善湯]→安善
安善19:29➔大川19:33
大川19:49➔安善19:53[ほていや酒店]
安善20:39➔浜川崎20:43[浜川崎商店]
乗りに来ても単純往復になることが多い鶴見線。今回はじめて本数の多い時間にゆっくり巡ってみましたが、周りの都会からは取り残されたような、のんびりした時間軸をじっくり味わうことができました。やっぱり鶴見線は良いです。
東京や横浜からすぐの場所ですし、時間と金をかけず旅気分を味わいたい時など、お試しいただけたら幸いです。
◆今回の行程
鶴見16:20➔国道16:22
国道16:42➔鶴見小野16:43
鶴見小野→[沖縄物産センター]→[ヤージ小]→[おきなわ亭]→弁天橋
弁天橋17:31➔新芝浦17:35
新芝浦17:45➔海芝浦17:47
海芝浦17:57➔浅野18:01
浅野18:04➔昭和18:14
昭和18:29➔扇町18:31
扇町18:37➔武蔵白石18:44
武蔵白石→[安善湯]→安善
安善19:29➔大川19:33
大川19:49➔安善19:53[ほていや酒店]
安善20:39➔浜川崎20:43[浜川崎商店]
※平成29年7月時点の時刻です。
コメント
コメント一覧 (2)
盆休み後に解体が始まり建物は消滅しました。
クモハ12は今日東京車両センターで会えますね。